amahikasです。
デスメタルでは一番好きなEdge of Sanityから書いていきます。
Edge of Sanity
Edge of SanityはAt the Gates、In Flames、Dark Tranquillityなどと並んでスウェーデンのメロディックデスメタル(以降、メロデスと表記)シーンを作り上げ、牽引したバンドのひとつに数えられます。1989年にDan Swanoを中心にスウェーデンで結成され、1991年に『Nothing But Death Remains』でデビューします。デビュー作はフロリダのDeathやObituaryといった先駆者の影響を強く受けたデスメタル然とした作品ですが、1992年の『Unorthodox』から少しずつメロディーを取り入るようになり、1993年の『The Spectral Sorrows』と1994年の『Purgatory Afterglow』でEdge of Sanityの世界観を構築します。1996年に『Crimson』には1曲で40分という奇抜なアルバムを発表しますが、1997年発表の『Infernal』発表後にDan SwanoとギターのAndreas Axelssonが衝突し、Danが脱退をします。個人的にEdge of Sanityはここで終わってるんですが、1997年にDan抜きですぐさま『Cryptic』という作品を発表するんですが、Dan抜きでは長続きせず、解散をします。どういった経緯かは不明ですが、2004年には『Crimson II』を発表します。しかし、このアルバムはほぼDanが1人で作ったアルバムで、参加した他のミュージシャンはボーカルとリードギターを演奏してるのみです。
私がEdge of Sanityに魅力を感じているのはデスメタルとプログレ、美しいメロディーの三つの要素を非常にわかりやすく且つ、うまく融合してるとことです。基調となっているのはデスメタルのダークさや攻撃性、スピードです。そこにプログレの複雑な曲構成や転調をうまく取り入れています。決して思いつきで無理矢理複雑な曲構成にしているわけではなく自然に転調をするところに知性や品の良さを感じます。メロディーについても一級品で美しくてキャッチーなメロディーが曲の中に違和感なく溶け込みます。
Edge of Sanityの個性を際立たせているのはDan Swanoのボーカルとメロディーを組み立てるギターワークです。初期の頃はデス声がメインですが、『Purgatory Afterglow』の頃にはクリーンボイスも多用するようになります。デス声とクリーンボイスの使い分けもさることながら感情の込め方が素晴らしい。デスメタルのボーカルというと無機質だったり威圧的なデス声も良いのですが、個人的には人間が極限まで絶望したり悲しんだときの慟哭が好きなのです。Dan Swanoはこの慟哭の表現力が非常にうまいと思います。ギターの魅力はリフと主旋律に分かれるのですが、ギターリフで構成するメロディーもきれいですし、主旋律を弾くときのギターも良いです。特に特徴的でEdge of Sanityの個性を際立たせてるのがギターの主旋律だと思ってます。
Edge of Sanityの好きなアルバム
私が所有してるアルバムの一覧です。
- Nothing But Death Remains (1991年)
- Unorthodox (1992年)
- The Spectral Sorrows (1993年)
- Purgatory Afterglow (1994年)
- Crimson (1996年)
- Infernal (1997年)
好きなアルバムはダントツで『Purgatory Afterglow』です。Edge of Sanityだけでなく、私がこれまで聴いてきたすべてのアルバム(約3000枚)の中でもベスト50に入るくらい好きです。次点はデビューアルバムの『Nothing But Death Remains』と『The Spectral Sorrows』です。『Crimson』も良いアルバムなのですが、なんせタイトル曲が40分弱ある特殊な構成になってるのでお薦めしづらいです。
『Purgatory Afterglow』はバンドとしての完成形のようなアルバムです。プログレ色が強くて曲調はバラエティーに富んでいます。ボーカルもデス声とクリーンボイスを巧みに使い分けていて楽曲のレベルが高いです。『Nothing But Death Remains』はデビュー作とあってデスメタル色の強く、クリーンボイスもあまり使用していません。音楽的にも初期のデスメタルに近いですね。勢いや暴力性は高いのでメロデスよりも初期のシンプルなデスメタルを好む方にはお薦めです。『The Spectral Sorrows』は『Purgatory Afterglow』には楽曲のレベルが及ばないものの音楽的に似ています。
Edge of Sanityの好きな曲
- Tales… S.N. ’91 / Nothing But Death Remains
- Darkday / The Spectral Sorrows
- The Masque / The Spectral Sorrows
- Sacrificed / The Spectral Sorrows
- Twilight / Purgatory Afterglow
- Blood-Colored / Purgatory Afterglow
- Black Tears / Purgatory Afterglow
- Elegy / Purgatory Afterglow
特に好きな曲はこの3枚のアルバムに集中しています。この中でも好きなのが『Purgatory Afterglow』に収録されている”Twilight”、”Black Tears”、”Elegy”の3曲です。”Twilight”は8分弱と長い曲なんですが、Edge of Sanityの魅力が凝縮されています。幻想的なオープニングから始まって、ギターメロが印象的なパートに転調し、ミドルテンポのスラッシュメタルっぽいパートに入ります。ここではデス声と美しいギターリフを堪能できます。次のサビの部分はまたもギターメロが印象的です。4分25秒あたりでデスメタルでは珍しく語りにも似たパートが入りますが、これはちょっとした息抜きで次のパートを盛り上げるのに一役買っています。この辺の構成力が自然なのがEdge of Sanityのうまさなのかなと思います。ドラムについてはデスメタルの特徴であるブラストビートはほとんど使われてないので、デス声を除けばスラッシュメタルに近い曲です。
“Black Tears”はDeath n’ Roll調のイントロから始まります。のっけからギターのメロディーが美しく、初めて聴いたときは冒頭の30秒だけでノックアウトされました。すべてクリーンボイスで歌われていて、デスメタルの要素は薄いです。イントロのDeath n’ Rollとギターメロが終始カッコイイ曲ですね。
“Elegy”はドラムのブラスとビートとギターメロから始まる曲です。イントロの次のパートはタメの効いたギターリフとデス声が印象的です。サビはブラストビートとギターメロ、デス声がうまく調和していて大好きなパートです。特にサビのボーカルは良いですね。ギターソロの部分もいいスパイスになっています。
『Purgatory Afterglow』が傑作だったのでEdge of Sanityはどうしてもこのアルバムを強くプッシュしてしまうのですが、『Purgatory Afterglow』の前のアルバムの『The Spectral Sorrows』も優れたアルバムで、”The Masque”は『Purgatory Afterglow』に収録されてもおかしくないくらい完成度が高いです。”Sacrificed”は”Black Tears”の元アイディアとなった曲かなと思うような曲です。
まとめ
メロデス(メロディック・デスメタル)の創世記を盛り上げたEdge of Sanityを紹介しました。バンドが長続きしなかったのが残念でなりませんが、『Purgatory Afterglow』以上の作品を作るのも難しかったのかもしれません。Dan SwanoのサイドプロジェクトのNIGHTINGALEも聴きましたが、方向性が違いすぎて好きになれませんでした。もうひとつBloodbathというバンドでも活躍しています。Bloodbathはスウェーデンのメロデス界の大物と活動してるバンドでDan Swanoはドラムやギター、バッキングボーカルで参加しています。こちらはメロディーを控えめにしたデスメタルをやっています。悪いバンドではないのですが、Dan SwanoにはEdge of Sanityを期待してしまうリスナーの悪いクセが出てしまいますね。
今回は以上です。
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コメント
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