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音楽レビュー デスメタル その2 Death

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音楽
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amahikasです。
ちょっと間が空いてしまいました。デス・メタル編第2弾はフロリダ出身のDeathを紹介します。Deathというとオーディオの試聴に頻繁に使っている”Flesh And The Power It Holds”が当ブログではよく登場します。

Death

Deathは1983年にChuck Schuldiner(チャック・シュルディナー)によって結成されています。結成当初はMantasとうバンド名で活動していました。PossessedやObituaryと並んでデス・メタルをジャンルとして確立させたバンドのひとつでもあります。
デビューは1987年の『Scream Bloody Gore』です。当時のメタル界を考えるとDeathを取り巻く状況はなかなか厳しく、メタリカが『Master of Puppets』を、スレイヤーが『Reign in Blood』、メガデスが『Peace Sells …But Whos’s Buying?』を発表したのが1986年です。スラッシュ・メタルのビッグ4もようやくメタル界で認知され始めたくらいなので、デ・スメタルはまだまだ異端児という扱いでした。ちなみに『Scream Bloody Gore』はデス・メタル初のフルアルバムと言われています。
1988年には2作目の『Leprosy』を発表します。前作に比べると複雑な曲構成や展開といったプログレの要素を多用し、初期のデス・メタルからの脱却がうかがえますが、荒削りで勢いや激情に任せた演奏がメインになっています。

私がDeathを聴き始めたのは1990年に発表された『Spiritual Healing』からです。前述の通り、DeathはObituaryやMorbid Angel、Deicide、Cannibal Corpseといった初期のデス・メタルバンドと違って早い段階からプログレや技巧派への転身をしています。『Spiritual Healing』は初期のオーソドックスなデス・メタルよりもテクニカルな要素が多くなった初めてのアルバムだと思います。今ではデス・メタルもジャンルの細分化がされていますが、デス・メタルにプログレやテクニカルな要素を初めて導入したのもDeathです。

本格的にDeathにのめり込むようになったのは1991年発表の『Human』からです。このアルバムはデス・メタルの特徴とプログレ、テクニカルな要素が見事に融和しています。Deathの初期3作はどのアルバムも質は良くて他のデス・メタルバンドと異なる雰囲気を醸し出していますが、やはりこの『Human』以降の作品をお薦めします。

1993年発表の『Individual Thought Patterns』は前作をさらに煮詰め、完成度を上げています。このアルバムではメロディーの要素も少し足してますね。1995年の『Symbolic』ではさらにメロディーの要素が強くなります。このアルバムでDeathの音楽性は最終形態となって完成し、デス・メタルにプログレ、テクニカル、メロディーの要素を入れたという単純な表現ではなく、「Death」というバンドとしてひとつのジャンルになっていると感じます。1998年には『The Sound of Perseverance』を発表。曲の質がさらに良くなり、メロディアスなパートが少し増えて、挿入方法も自然になっています。Judas Priestの『Painkiller』を聴いたときも「この人たちはこれ以上の作品を作ることができるんだろうか」と感じたものですが、『The Sound of Perseverance』も同じように感じました。それだけ完成度が高く、オリジナリティー溢れる作品でチャック・シュルディナーじゃなければ作れないだろうと思わせるほどすごい作品です。

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チャック・シュルディナーの死

チャック・シュルディナーが私と同じように感じていたかどうかはわかりませんが、『The Sound of Perseverance』を発表する前からControl Deniedという別のバンドの活動をはじめています。そのため、Deathは解散状態となります。Control Denied名義では『The Fragile Art of Existence』というアルバムを1999年に発表しています。
しかし、このアルバムを発表する前にチャックは脳のがんと診断され、音楽活動を休止することを余儀なくされます。Control Deniedの2作目の制作に取りかかっていると聞いて順調に回復してると思っていたんですが、2001年の12月に34歳の若さで亡くなりました。

Deathというバンドは結成当時からチャック・シュルディナーを中心です。作曲もほとんど手がけてますし、最初はベースとギター担当だったのが、最終的にはバンドの顔でもあるボーカルとギターを担当しています。チャック以外は最初から最後まで在籍していたミュージシャンはおらず、Deathの継続的な活動は絶望的でした。チャックの死後にライブ盤とベスト盤がいくつか発表されてますが、オリジナルアルバムは『The Sound of Perseverance』が最後です。

Deathとチャック・シュルディナーを考えるといろんな思いが去来するのですが、若くして亡くなったという点でハノイ・ロックスの悲劇と重ねてしまいます。バンドと強力な才能の関係性でいうと先に紹介したEdge of Sanityのダン・スワノ、RAGEのピーヴィー・ワグナーを想起します。天才肌でなんでも自分でやってしまうのですが、バンドはそれだけでは成立しないので苦労をするタイプですね。

Deathの好きなアルバム

私が所有してるアルバムの一覧です。

  • Spiritual Healing (1990年)
  • Human (1991年)
  • Individual Thought Patterns (1993年)
  • Symbolic (1995年)
  • The Sound of Perseverance (1995年)

Deathの中でもっとも好きなアルバムは『The Sound of Perseverance』です。デス・メタルの基本的な要素がつまっていてプログレ、テクニカル、メロディアスといった要素もうまく取り入れています。Edge of Sanityの『Purgatory Afterglow』と同じでDeathのアルバムの中でもダントツで好きですし、デス・メタルだけで亡くメタル史上に残る名作だと思っています。

次点は『Human』、『Individual Thought Patterns』、『Symbolic』です。Deathというバンドは初期はオーソドックスなデス・メタルですが、徐々にプログレやテクニカルな要素を強めていきます。そして『Individual Thought Patterns』からメロディアスな要素を少しずつ強めていきます。
オーソドックスなデス・メタルが好きであれば、初期の3作品がお薦めで、プログレやテクニカルが好きであれば、『Spiritual Healing』、『Human』、『Individual Thought Patterns』あたりがお薦めです。メロデスが好きであれば、『Symbolic』と『The Sound of Perseverance』がお薦めです。なんにせよDeathを聴いてみようと思ったならば、『The Sound of Perseverance』は絶対に聴いて欲しい1枚です。

まとめ

Deathについて書きました。デス・メタルだけでなく、プログレ、テクニカル、メロディアスなデス・メタルというジャンルを確立したという点でメタルの歴史上、重要なバンドだと思います。デス・メタルにメロディアスな要素を導入したというと北欧のバンド群を想像しがちですが、このDeathも忘れてはいけません。もっともチャック・シュルディナーはこういった形容は快く思ってなかったみたいですけどね。なんにせよデス・メタルの歴史と音楽的な変遷を知る意味でもDeathのアルバムを1枚ずつ聴いてみるのは面白いと思います。

Deathの魅力はデス・メタルの暴力性や残虐性といった基本的な要素に、複雑な展開、曲構成と緩急をつけるのがうまく、最終的にはメロディーまで美しく取り入れたところでしょう。チャックのボーカルスタイルは最近の流行のグロウルというよりも吐き捨て型でスラッシュ・メタルのボーカルに近いです。デス声の範疇には入りますが、感情表現がより高いレベルの歌唱法だと思います。
演奏レベルは非常に高いです。チャックの要求レベルが高いのだと思いますが、どのアルバムを聴いても安っぽさはありません。ミュージシャンが発する出音が良ければ、録音状態がさほど良くなくても音質は良く聞こえますね。『Human』あたりからは録音状態も良くなってるようで不満は感じないです。

今回は以上です。
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