またまたジャズのレビューです。
今回はリチャード・ボナですね。
彼のことはボブ・ジェームズの『Joy Ride』というアルバムで知りました。
『Joy Ride』に収録されている”Bisso Baba”という曲とベースの演奏がとても気に入ってしまって、オーディオ機器の試聴に使う曲のリストに早速入れたくらいです。
調べたところこの曲のベースをリチャード・ボナが演奏し、作曲もしていると知り、興味が湧きました。
リチャード・ボナについて
リチャード・ボナはカメルーン東部のミンタ村というところで生まれています。
音楽一家の中で育ち、カメルーンのドゥアラという都市に引っ越してからジャズ・クラブで演奏するようになったそうです。
最初はギターをメインで演奏していましたが、世界的に有名なベーシストのジャコ・パストリアスの音楽に出会ったことでベースに持ち替えました。
1990年にはパリに活動拠点を移し、1995年からはNYをメインに活動しています。
オーストリア出身のジョー・ザヴィヌルという有名なシンセサイザー・ピアノ奏者に才能を見いだされて、活動を共にします。この時に来日もしてるそうですね。
2001年にはNHKの番組「みんなのうた」用に「風がくれたメロディ」を発表し、日本語詞に挑戦しています。
同年に今回紹介するセカンドアルバムの『Reverence』を発表。
この頃にはポスト・ジャコ・パストリアスといわれるほど人気を高めていたそうです。
この後、パット・メセニー・グループに参加し、『スピーキング・オブ・ナウ』(Speaking of Now)というアルバムでベースとボーカルを担当しています。
このアルバムのツアーにも参加し、『パット・メセニー・グループ スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』というDVDが発売されています。
『スピーキング・オブ・ナウ』はグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞も受賞しており、個人的には絶対に聞かないといけないアルバムリストに入っています。(笑)
DVDのほうも一緒に購入する予定です。
ジャズはまだまだ素人なので映像作品って何も持ってないんですよね。(笑)
パット・メセニー・グループでの仕事を終えた後は、独自の活動を続けて自分の作品を発売したり、日本の渡辺香津美や渡辺貞夫とも活動をしています。
来日も何度かしてるようで、最後の来日は2015年1月です。ブルーノート東京とコットンクラブで演奏をしたようです。(観たかった・・・)
日本とのつながりも深いので次回来日時には是非観たいものです。
リチャード・ボナの公式サイトはこちらです。日本語の情報についてはこちらを参考にしてください。
Reverence
それではリチャード・ボナのセカンドアルバム『Reverence』を紹介していきましょう。
この作品は2001年に発売されています。
タイトル曲の”Reverence (The Story of a Miracle)”にはパット・メセニーがゲスト出演しています。
リチャード・ボナはこのアルバムでボーカル、ベース、フルート、パーカッション、キーボード、エレキギター、アコースティックギターと幅広く担当しています。
実に多才なんですね。(驚)
お気に入りの曲
アルバム『Reverence』の中で気に入ったのは以下の曲です。
- Bisso Baba (Always together)
- Suninga (When Will I Ever See You)
- Reverence (The Story of a Miracle)
- Te Misea (A Scream to Save the Planet)
- Muntula Moto (The Benediction of a long Life)
- Mbanga Kumba (Two cities, One Train)
Bisso Baba (Always together)
特に好きなのはBob Jamesのアルバムにも収録されている”Bisso Baba (Always together)”です。
この曲はベースの雄大なメロディーが好きです。
メロディーも良いのですが、深く沈み込むベース音がとても好きです。
Suninga (When Will I Ever See You)
スローテンポでもの悲しげなバラードです。
リチャード・ボナの繊細なボーカルを聴くこともできます。
とても美しい曲です。
Reverence (The Story of a Miracle)
こちらもスローテンポな曲です。
特に盛り上がりはありませんが、アコースティックギターとベースが印象的な曲です。
基本的にメロディーがきれいなので聴いていて気持ちがいいのですが、きれいなメロディーの上で軽快なベースとアコギが技巧的且つ印象的なプレーをしてくれるのでより魅力が増します。
Te Misea (A Scream to Save the Planet)
ミドルテンポの曲です。
この曲はアコギとピアノが中心で、リチャード・ボナのボーカルを堪能することもできます。
少し哀愁の漂う曲でもありますが、メロディーは明るい曲です。
哀愁があって明るいメロディーは大好きだったりします。
Muntula Moto (The Benediction of a long Life)
少しアップテンポでアフリカっぽい雄大さを感じさせてくれる曲です。
アコギとピアノが印象的ですが、リチャード・ボナのボーカルも堪能できます。
ドラムもシンバルでいい仕事をしてますね。
Mbanga Kumba (Two cities, One Train)
冒頭はパッとしなくてわかりすらい曲なんですが、1分20秒あたりからの演奏が見事です。
この曲ではリチャード・ボナの早弾きを堪能することができます。
演奏が早いのは当然なのですが、ひとつひとつの音が粒がとてもきれいです。
こういう音は録音状態や楽器だけでなく演奏者の技術もないと成り立たないんだろうなと思います。
まとめ
個人的には大当たりとなったアルバムです。
これまで私が聴いてきたジャズのアルバムと比べるとアフリカの民族音楽っぽい色が強いです。
Bob JamesやFourplayの作品は近代的で洗練されたお洒落なジャズという印象ですが、Richard Bonaは洗練された音の中にも自身のルーツであるアフリカの民族音楽をうまく融合していますね。
この独特の空気がリチャード・ボナの音楽を特別なものにしているように思います。
また、リチャード・ボナ自身もルーツを大事にしてるということが伝わります。
実は今回紹介した『Reverence』の前に『Tiki』という2006年にリチャード・ボナが発売したアルバムも買ったんですが、こちらはいまひとつでした。
決して悪いアルバムではないのですが、リチャード・ボナが醸し出すアフリカっぽい雰囲気に私がついていけなかったんでしょうね。
2枚目に聴いた『Reverence』でようやくリチャード・ボナの魅力に気がついたと思います。
ジャズと言ってもリチャード・ボナの作品はあまり形式にこだわってなくて、ロックやポップスといった音楽を聴いている人でも違和感なく入ることができると思います。
基本的に各楽曲はメロディーがきれいなので親しみやすいです。
それと、リチャード・ボナのボーカルを私はとても気に入っています。
技術的にものすごく高い声が出るというわけではないのですが、リズムが正確で味があります。哀愁もたっぷりの声質なので私のように哀愁が好きな音楽好きにはたまらないものがありますね。
言うまでもなくベースも大きな魅力のひとつです。
リチャード・ボナのベースは早弾きやスラップと言ったテクニックに頼ることがなく、基礎を大事にしつつ雄大で伸びやかなところが魅力です。
専門的な言葉を使うとロングトーンと言うんでしょうかね。
一音一音が長く伸びます。響き方も非常にいいので聴いていて気持ちがいいのと、独特なものを感じます。
これまではうまいベーシストというと早弾きやスラップをイメージしていましたが、こういう奏法もあるんだなと認識した次第です。
もちろん、曲の中でリチャード・ボナが早弾きやスラップもすることもありますが、あくまでも印象的なフレーズとして使われるだけで、基本となっている奏法はロングトーンで雄大なベースなのかなと思っています。
今回は以上です。
機会があれば最初に聴いた『Tiki』のレビューも書きたいと思います。
以下の記事もあわせて参考にしてくださいませ。
私が初めてリチャード・ボナを聴いて”Bisso Baba”も収録されているアルバムの記事です。
こちらはリチャード・ボナの前に好きになったベーシストのネイザン・イーストのアルバムの記事です。
最近ジャズでもっともはまっているバンドのFourplayの記事です。
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