個人的にもかなり興味のある二つの製品を聞き比べました。
P7と1770 PROのレビューについては以下の記事を参考にしてくださいませ。
試聴環境
P7は標準のイヤーパッドに標準ケーブルを使用しています。
1770 PROは合皮イヤーパッドと標準ストレートケーブルを使用しています。
再生側はMacBook Pro(Audirvana)からVANTAM Redを経由してヘッドフォンに接続しています。
Audirvanaの設定はいつもの通りです。詳細は以下の記事を参照してください。
私の環境では一番快適にヘッドフォンを聴く環境ですね。
試聴曲については以下の記事を参考にしてくださいませ。
音源は44.1kHz/16bitのALACです。
聞き比べ
Rock The Blues Away / AC/DC
1770 PROから聴きます。
冒頭のギターとハイハット部分がとても生々しいです。
高音は開放的で解像度が高いですね。スネアのアタック音もとても小気味よくて気持ちがいいです。
ベースは直線的に耳に入ってきます。この低域の鳴らし方が1770 PROの特徴のひとつであると思います。
音の密度が上がるとややシンバルの音がうるさく感じますが、不快ということはなくソースを忠実に再現しているという印象です。
続いてP7です。
1770 PROと同様に冒頭のギターとハイハットは生々しさがありますが、高域の開放感と解像度は1770 PROのほうが上ですね。1770 PROのほうが生々しく感じられます。
ベースが入ってくるとP7のほうがノリがよく感じられます。
音の密度が上がっても高音が刺さるようなこともありません。
音の粒は1770 PROほど細かくはありませんが、マイルドに聴かせてくれます。
音場の広さはこの曲については、同等と感じます。
1770 PROも負けてないですね。
She-Wolf / Megadeth
P7から。
高音は乾いた音を聴かせてくれます。この曲ではヴォーカルが前に出てきますね。
音の密度が上がっても全体的に破綻することなく各楽器の音を細かく魅力的に再現します。
1770 PROに行きましょう。
P7よりも細かいです。低音がよく出ている曲ですが、P7に負けてませんね。
やや量は少ないのですが、1770 PROのほうが下まで出るので遜色はありません。
P7のように中低音がウォームではないため、キレはこちらの方が上です。
聴いていて楽しいのはP7で正確なのは1770 PROという感じです。
比べてみてわかったのですが1770 PROは音場の広いですね。
今のところP7とそれほど変わらないという印象を受けています。
音の余韻や立ち上がりもよく表現出来ています。
Rangers / A Fine Frenzy
1770 PROから聴きます。
繊細なアコギとヴォーカル、うなるようなベース音がうまく調和しています。
低音も解像度が高くキレがあるので演奏者の指使いが感じられますね。
ヴォーカルが耳から頭の方向に伸びていくのが心地いいです。
続いてP7。
この曲では音場が1770 PROよりも広く感じられます。
ヴォーカルの息づかいも1770 PROよりも生々しく感じられます。
高域は1770 PROほど細かく表現出来ていませんが、中低音についてはP7のほうが魅力があります。
濃厚でじめっとした音を聴かせてくれるという点ではこちらのほうが聴いていて魅力がありますね。
Four on Six / Nathan East
P7からです。
普段聴いているイメージどおりです。
ドラムのシンバルとピアノ、ベースがよく調和されてます。
特にドラムがシンバルとハイハットで細かい技をぶっ込んでくるんですが、ちゃんと表現されてますね。
続いて1770 PROです。
シンバル音についてはP7よりも細かく表現します。
ただし、P7のほうが細かいフレーズを聴き取りやすいです。
1770 PROのほうは注意をして聴けないと気がつかないです。
P7に比べるとピアノとベースのほうが強調されて聞こえます。
中低音に関しては解像度が高く乾いた音質のため、P7よりも細部は聞き取りやすいです。
Crush / Kelly Sweet
1770 PROからです。
高域と中域は変わらず開放的で伸びがあります。
低音については少し量が少なく、魅力に乏しい感じがします。
この曲の包み込むようなベース音が今ひとつ表現出来てないですね。
続いてP7です。
先ほどのA Fine Frenzyと同じくこの手の女性ヴォーカルものはP7のほうが得意ですね。
ヴォーカルが少し前に出てきて生々しく表現されます。
中低音についても包み込むような感じが出てきます。
音の強弱もP7のほうがメリハリがありますね。
Barcelona / Freddie Mercury & Montserrat Caballé
P7から。
オーケストラの迫力と音圧がうまく表現されてます。
出るべき音が強調されて、消えるべき音はきれいに消えていくという印象。
フレディーとカバリエさんのヴォーカルもしっかりと表現されています。
ヴォーカルをより強調しすぎのせいか、3分過ぎのシンバル音が少し引っ込んで聞こえます。
ヴォーカルとオーケストラがかぶる部分ではオーケストラが少し引っ込んだように聞こえます。
続いて1770 PROです。
低い低音は1770 PROのほうが出てます。
1770 PROはP7ほど強弱のメリハリがないものの正確という印象です。
この曲ではP7が味付けをしすぎと感じました。
1770 PROのほうが自然に感じられます。
P7のようにヴォーカルを強調するあまりオーケストラが引っ込んで聞こえるようなことがありません。
Les Miserables / At The End Of The Day
1770 PROから。
出だしのパーカッションがとても細かくてきれいです。
オーケストラの迫力も伝わります。
この曲のスピード感とキレもよく表現されてますね。
情報量が非常に多い曲ですがまったく苦にすることなくすべてを表現しているという印象です。
この基本性能は本当にすごいなと思います。
P7です。
出だしのパーカッションは1770 PROほど細かくはありません。
オーケストラの迫力は1770 PROよりも伝わりますが、細かさで言うと1770 PROのほうが上ですね。
P7独特の味付けは楽曲そのものの魅力をより強く伝えますが、正確という点では1770 PROのほうが上です。
どちらがいいと評価するのは非常に難しいですね・・・。
Some Day One Day / Queen
1770 PROから。
冒頭のアコギがきれいですね。解像度は高いし、キレがあります。
ブライアンの頼りないヴォーカルもジョンのキレのある歌うベース、ロジャーのドタバタドラムスもしっかりと表現されてます。
全体的にとても開放的で伸びのある音で聴くことができました。
P7で聴いてもあまり印象は変わらないのですが、アコギの乾いた音がより強調されました。
中低音は乾いた印象よりもややウォームな印象に変わります。小さい差ではありますが。
次ページに音質以外の点を比較します。
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