前回はDAP(デジタルオーディオプレーヤー)の聞き比べをしてきました。
今回はDAC付きポータブルヘッドフォンアンプのMojoとHERUS+を試聴してきました。
この2製品も個人的にとても魅力を感じてますし、どのような特性(音質的な)があるのか興味があります。
今回はP7を使ってじっくりと聞き比べてみました。
それでは今回の候補の紹介のおさらいをしましょう。
候補
現在、DAPとポータブルヘッドフォンアンプの候補としているのは以下の製品です。
前回はDP-X1とFiiO X7を聞き比べました。
今のところDP-X1が一歩リードしています。
試聴環境
iPhone 6s PlusとB&W P7で試聴をしました。
MojoとHERUS+をiPhoneとP7の間に入れています。
音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)です。たまにHF PlayerでFLACの96kHz/24bitの音源も聴きます。
試聴に使う曲についてはこちらを参考にしてくださいませ。
今回は直前までiPhone 6s Plus+VANTAM Red+P7で聴いてました。
HERUS+
HERUS+は2回目の試聴になります。
前回の試聴結果は以下を参考にしてください。
HERUS+は小さいのが最大の利点ですね。
そもそも私はポータブル機器を外で使うことがほとんどなのでサイズは小さければ小さいほどありがたいと思っています。
いまはVANTAM Redをメインで使っていますが、その前はAL-LCH21を使っていました。
AL-LCH21は小さくて扱いやすいわりにiPhoneの音質をあげてくれるので重宝していました。
HERUS+はAL-LCH21とおなじようなサイズの上に音質が良いとあって期待しています。
AL-LCH21の記事は以下を参考にしてください。
At The End Of The Day / Les Miserables
VANTAM Redと比べても一聴してクリアだと感じます。音場も少し広がります。
基本的な音質は変わりません。HERUS+はあくまでも全体的に解像度を上げて音をクリアにするという印象です。
HERUS+はiPhoneで音量を調節する製品ですが、音量は最大まであげられませんでした。iPhoneの音量のメモリをひとつかふたつ余らせるくらいがいいですね。
ちなみに前回はDT 1770 PROで試聴しましたが、音量を最大に上げることができました。
DT 1770 PROではパワー不足ですが、P7では十分です。
Rangers / A Fine Frenzy
高域が非常に気持ちいいです。
どちらかというと温もりのある中低域が魅力の曲ですが、高域がこれだけきれいに聞こえるのはいいですね。
Bisso Baba / Bob James
初めて試聴に使う曲です。Nathan Eastと一緒にFourplayで演奏するピアニストです。
曲も良いのですが、低い低音が録音されているので試聴リストに追加しました。
HERUS+で聴くと低音がさらに下まででます。
うなるような低音ですね。(笑)
驚いたことにP7が振動しているのが耳に伝わってきました。(笑)
P7でこれは初めてです。
VANTAM RedとDT 1770 PROでもかなり低い低音が出ていたのですが、HERUS+とP7のほうが強烈ですね。HERUS+とDT 1770 PROだともっとすごいことになりそうです。
だからと言って低音の質がブーミーになることもありません。
より低音の伸びが増して、よく広がるという印象です。
こんなすごい低音が鳴っているのに高域がきれいに鳴っているのは結構すごいですね。
She-Wolf / Megadeth
音の密度が上がって、情報量が増えても問題ないです。
ひとつひとつ音が精細で各楽器を細かく聞き分けることができます。
P7なので高域が刺さることもありません。
HERUS+とP7の相性は非常にいいと感じます。
Flesh and The Power It Holds / Death
私の試聴リストの中ではもっとも密度の高い曲ですが、問題ないですね。
これだけ情報量が多いとVANTAM Redとの差もそれほど感じません。
ただし、低域は他の曲と同じようによく伸びるようになり広がります。
P7の音場と奥行きがさらに広がるという印象です。
ちなみに前の曲からこの曲の曲送りの際に曲の頭が切れました。
No More Tears / Ozzy Osbourne
この曲も文句なしです。
やはり低音が豊かになります。量が増えるというよりも低音が広がるので豊かに聞こえるという感じですね。
音の反応もいいです。すぐに消えるべき音は消えて、残るべき音は余韻がきれいです。
Crush / Kelly Sweet
こういったゆったりとした女性ヴォーカルもいいですね。
空気感がとても気持ちいいです。
この曲でもP7が振動しているのを耳で感じることができました。
この曲でこんなに豊かな低音を聴いたのは初めてですね。
なお、この曲の頭も切れました。
iOSデバイスにDAC付きアンプを接続する場合、これは仕方がないのでしょうね。
HERUS+のまとめ
前回試聴したときの印象もかなり良かったのですが、さらに気に入りました。
前回はDT 1770 PROでの試聴だったため、音量が不足しましたが、P7だとiPhoneの音量を最大にすることは出来ませんでした。最大音量からメモリをひとつかふたつ下げて聴きました。
通常であればもっと下げても大丈夫でしょう。(私は試聴の時は音量を上げる傾向にあります)
音質は全体的に音が鮮明になります。VANTAM Redと比べてもさらに見晴らしの良い開放的な音を聴くことができました。
あまり味つけをするタイプの製品ではありませんが、低域についてはVANTAM Redで聴くよりも伸びと広がりがあるので人によっては量が多いと感じるかもしれません。
高域のレンジは広く、開放的です。
VANTAM Redと比べると音の粒がさらに細かくなり、角も丸くなります。
よって非常に細かいのですが、聴きやすい音質です。
下流を変えることでモニター系、リスニング系どちらにも使えると思います。
ちなみにこの日はとても気持ち良くリスニングすることができました。
P7との相性は抜群です。
中域は特に前に出て来るということはないのでヴォーカルを中心に聴きたい人には合わないかもしれませんね。
悪い点は音量です。
VANTAM Redと比べてもパワー不足です。
ONKYOのHF PlayerはiPhone標準のミュージックアプリよりも大きな音が出るので再生アプリを変えれば問題はなくなりますが、HF Playerだと再生回数が記録できないんですよね。
HERUS+はiPhoneのバッテリーで駆動するため、iPhoneのバッテリーを消費するという点ではデメリットなんですが、逆を言えばHERUS+を充電する必要はないので扱いは楽です。
この日は断続的に20分ほど試聴しましたが、iPhoneのバッテリーがいつも以上に減ったという感覚はありませんでした。
とはいえ、正確な評価をするには購入して長く使うしかないですね。
7万円は決して安くありませんが、このサイズでこの音は非常に魅力があります。
次ページに続きます。
コメント
ぜひ、cayin N6 を試してみてください。
鎌と槌さん、コメントありがとうございます。
N6は音が気に入ったとしてもiTunesとの同期ができないため、今回は候補から外しました。
時間があったら聴いてみますね。
前にN5を聴いた感想では少し好みに合わないかなという印象でしたが、ん6はレビューを読んでると音の傾向が違ってるようですね。
ご返信ありがとうございます。
そうですね、音の傾向はN5と結構違いますし、多分10万円以下の機種ならお好みにかなり合うように感じました。
もっとも、ネットワーク機能はゼロで音質一点集中なので確かにライブラリ管理は手間かもしれませんね。
いつか、ご感想をお聞かせいただけたら嬉しいです。