気になっていた64AUDIOのカスタムIEMを試聴してきました。
カスタムIEMは当分買う予定はありませんが、今後の勉強がてら気ままに試聴をしてきました。
64AUDIO
64AUDIOはADELシリーズを製造/販売する会社です。
ADELシリーズにはカスタムモデルのA-SeriesとユニバーサルモデルのU-Seriesという2つのラインアップがあり、いずれもAsius Technologies LCCの「第二の鼓膜」ADEL™テクノロジーを搭載しています。
64AUDIOは元々1964 EARSというブランド名でV6 StageやV8といった人気のあるカスタムIEMを製造していましたが、ADELシリーズの製造開始と同時に1964 EARSブランドを徐々に終息していくという計画のようです。
2016年5月現在、1964 EARSのカスタムIEMはオーダーできなくなっています。
ADELのAシリーズ(カスタムモデル)には2ドライバモデルのA2、3ドライバのA3、4ドライバのA4、5ドライバのA5、6ドライバのA6、8ドライバのA8、10ドライバのA10、12ドライバのA12と8つのモデルが存在します。
価格も結構高くなっていますが、2016年3月に価格改訂があり、少し買いやすくなりました。
この価格改訂がなかったら私は試聴もしなかったと思います。(笑)
試聴環境
試聴には試聴機を使いました。
試聴環境はiPhone 6s PlusとHERUS+という組み合わせです。
音源は主にCDから取り込んだAppleロスレス(ALAC)。
たまにHF PlayerでFLACの96kHz/24bitの音源も聴きます。
試聴に使う曲や聴きどころについてはこちらを参考にしてくださいませ。
今回試聴をしたモデルはAシリーズのA4とA5です。
ドライバーの数と価格で決めました。A6もそのうち聴いてみたいのですが、A8やA10、A12は高すぎて手が出ないですね。(笑)
試聴の直前までVision EarsのVE5で聴いていました。
主にVE5との比較になります。
ADEL A-Series A4
まずは4ドライバのA4です。
A4はこれまで大型のヘッドホンでしか低域の再現を目指したモデルだそうです。
Bisso Baba / Bob James
低域の沈み込みが少し物足りないです。
解像度は全体的に高く、クリアな音質。音の粒も細かく、滑らかなです。ざらざらではなくさらさらと気持ちのいい音を聴かせてくれます。
全体的なバランスはフラットに近いです。
Flesh and The Power It Holds / Death
音の密度が高く音圧のある曲を聴いてみます。
とても素直な音で密度が上がっても問題ないですね。
奥行きが広く感じられます。
これといった特徴は感じませんが、モニターとしては優秀と感じます。
私の印象だとFitearのカスタムIEMに近い音質です。
Four on Six / Nathan East
この曲も素直です。
スピード感がよく出ていて音の立ち上がりが早いです。
最近は決して音の反応が早くないVE5に慣れてるから感じたのでしょう。
At The End Of The Day / Les Miserables
この曲では解像度の高さを感じました。
音場も広く奥行きも十分ですね。
私の手持ちだとVE5ほどではありませんが、Private 222より広いです。
解像度が高いだけでなくオーケストラの迫力もよく出てます。
その割には細かい音の表現もうまいので基本的な性能は高いなと感じます。
No More Tears / Ozzy Osbourne
VE5と比べるとベースの沈み込みは物足りないと感じますが、222よりは沈んでいます。
相変わらずクリアで素直な音質で、音の粒も細かくて滑らかです。
Come Sail Away / STYX
冒頭のピアノとボーカルがきれいです。
空気感もヘッドホンで聞くほどではありませんが、適度に表現できてますね。
この曲は感度の高いカスタムIEMだとシンバル音がつぶれたりするんですが、A4は問題ないですね。よく制御できてるという印象です。
A4の試聴結果
基本的な性能は高いと感じました。
解像度は高いですし、味つけをせず、忠実に音源通りに鳴らすという印象です。
細かい音を聞かせる割には、ひとつひとつの粒が滑らかなので聴きやすいのも個人的には好感です。
メーカーとしては低域に重きをおいたようですが、分厚い中低音が好きな私にはそれほど低域が目立つとは感じませんでした。
むしろ、全体的にフラットですっきりとした音像だと思います。
これはこれでモニターとして使うなら非常にいいんじゃないかと思います。
これといって強力な特徴はありませんが、正確かつ素直に鳴らすのがこの製品の特徴かなと感じました。
ジャンルを問わないのもいいです。
ADEL A-Series A5
続いて5ドライバのA5です。
A5はA4と違ってリファレンスモニターを目指して開発されています。
よりフラットでナチュラルな音を期待して視聴しました。
Come Sail Away / STYX
一聴して空間が広いと感じました。
冒頭のピアノとボーカルはA4よりもA5のほうがうまく雰囲気を作ってると思いますね。
音の傾向はA4とあまり変わらないように感じますが、高音の量はA4より多くきれいです。
中間部で盛り上がる部分でもシンバル音の高域が刺さることがありませんでした。
A4でも感じたようにA5も能力が高いですね。
No More Tears / Ozzy Osbourne
細かいだけでなくベースの音が力強いです。ひとつひとつの音も聞き取りやすく輪郭がはっきりしてます。
ギターの歪み方もきれいです。歪みがきれいという表現もおかしいのですが、きれいに歪んでいます。
高音は少し刺さりました。A4に比べると高音の量は多いですね。
At The End Of The Day / Les Miserables
この曲でも高域が多いと感じました。そのせいか少しごちゃごちゃして聞こえます。
もう少し高域を整理して聞かせて欲しいのですが、音源の情報量をそのまま再生しようとするので整理がされてないと感じました。
音圧と迫力はよく表現できていてA4よりもいいのですが、高域の情報量が多い曲は少し苦手なのかなという印象を受けました。
Four on Six / Nathan East
この曲は素晴らしいです。非常によく合います。
低域はまろやかかつキレもあります。特にベースの音がいいですね。
低域の沈み込みはVE5ほどではありませんが、充分です。
Flesh and The Power It Holds / Death
この曲では高域がやや雑になると感じました。
中低域は問題ありませんが、高域の音の密度が上がるのは苦手なのかもしれません。
ノリはよく表現できていますし、ドライブする感じが気持ちいいです。
Bisso Baba / Bob James
低音の沈み込みが深いです。しかもボワつかずに直接的に入ってきます。
この低音はVE5と同等かと思います。
VE5ほど味付けはしませんが、曲の雰囲気はよく表現できてます。
A5の試聴結果
A4に比べるとややリスニング寄りで濃い音と感じました。それでもVE5に比べるとあっさりとしていますね。
解像度が高くて、ひとつひとつの音の粒が細かいのは聴いていて気持ちが良かったです。
A4とA5はそれぞれに特徴があるものの基本的には音源に忠実且つ正確に鳴らす製品という印象を受けました。
解像度が高く音の分離もいい割には聴いていて心地良いというのはFitearの製品と共通するところがあります。
Private 222に不満を感じたら、MH334やMH335DWが欲しくなると思っていますが、ADELのA4とA5は思いっきり正面からぶつかる製品だと思います。
まとめ
A4もA5もいい製品だなと思いました。
ただし、A5は高域の情報量が多くなると少し聴きづらくなったので、私の耳にはA4のほうが合うのかもしれません。
今回の試聴では高域と低域に味つけをするHERUS+を使ったので、よりニュートラルなDACもしくはポタアンを使えばA5の高域も落ち着くと思います。
前述の通り、Private 222をリプレースしたくなったときにはMH334やMH335DWだけでなくADELシリーズも試聴しようと思います。
それととても印象が良かったので、価格的にVE5と同じくらいのA6も今度試してみたいと思います。
今回は以上です。
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