Four on Six / Nathan East
VANTAM Redのほうが反応が速いです。
ベースとピアノの流れるような演奏が特徴の曲ですが、メロディーが横に流れていく雰囲気がよく表現出来てますね。
逆にHERUS+はVANTAM Redよりも音への反応が少し遅くてややもっさりとしてるように聞こえます。
あくまでもシビアに聞き比べた結果なので、普段聴いてる分には気にならない違いです。
VANTAM Redは全体的に音が少し細くて繊細な音に感じます。
HERUS+がダイナミックで迫力のある音ですね。
それとこの曲ではHERUS+のほうが音の粒が滑らかに感じました。
Rangers / A Fine Frenzy
VANTAM Redはこの曲でもすっきりとした音を聴かせます。
特に高域が小気味いいですね。
低域についてはこの曲のうねるような表現がいまひとつです。
HERUS+は全体的にウォームな音になります。
粘っこい低音のうねりもよく表現出来てますね。
低音を過剰に出してるとも感じません。
単純にVANTAM Redよりも沈み込みが深くて量が多いと感じます。
ボーカルはやはり少し前に出て来るという印象です。
この曲は元々ボーカルが目立つようになっていますが、より強調されてます。
ここまで聴いてきて感じるのは、HERUS+は音の特長をより強調するということです。
VANTAM Redは割と忠実にすっきりと聞かせるのが特徴ですが、HERUS+はやはり少し味つけをしていますね。
The Millionaire Waltz / Queen
この曲は古い音源なのでこれまでの曲と比べてしまうと音質はあまり良くありませんが、HERUS+で聴くと力強くて現代的な音になりました。ちょっと新鮮な驚きです。
ギターオーケストラが特にきれいですね。
この曲ではHERUS+は音の粗を隠してるように聞こえます。
VANTAM Redのほうはこれまでと変わらずに忠実に鳴らしているという印象。
ただし、高域と低域は少し窮屈に感じます。
HERUS+のほうが全体的に開放的で音の空間が縦にも横にも広いですね。
普段何気なく聴いてる分には気になりませんが、こうしてじっくりと聞き比べるとわかる違いと感じます。
VANTAM Redはシンバルの派手な連打で高域が少し雑になります。
これは元々の音源通りなので問題はありませんが、HERUS+はやっぱり粗を隠してるように感じますね。
Crush / Kelly Sweet
VANTAM Redはすっきりとしていてなんの誇張もない、素直な音と感じます。
HERUS+はボーカルが前に出てきますね。ささやくように歌うのが生々しいです。
それとベースが包み込むように聞こえます。
量感のある低音ですが、同時にバックのアコースティックギターの音も非常に生々しいです
Come Sail Away / STYX
冒頭のピアノとボーカルの空気感はHERUS+のほうがよく表現できてます。
VANTAM Redはやや平面的な音になりますね。音場と奥行きはHERUSのほうが広いと感じます。
高域のシンバルが少し耳につく曲ですが、HERUS+ではうるさく感じません。
VANTAM Redはやや聴きづらくなります。
この曲の冒頭部分を聴いていて、繊細な音の表現についてはVANTAM Redのほうが得意と感じました。
音の密度が低い曲に関してはVANTAM Redのほうが私は好みかなと思います。
ピアノの独奏とか二つの楽器(ボーカル含む)だけで演奏されている静かな曲はVANTAM Redのほうが得意という印象ですね。
高域のシンバル音はVANTAM Redのほうがわずかに聞きとりやすいです。
誇張がされていない分、音がきめ細かいと感じました。
ただし、シンバルを連打するとVANTAM Redは少し聴きづらくなります。
Flesh and The Power It Holds / Death
低域と高域が誇張される分、HERUS+のほうが派手に聞こえます。
低音の沈み込みも深く、音圧も高いので迫力が出ます。
VANTAM Redも特に問題があるわけではありませんが、HERUS+のほうが魅力的に聴くことができます。
まとめ
両製品の特徴がはっきりと出る結果となりました。
HERUS+は基本的に素直に音を出す製品ですが、わずかながら音の特徴を誇張します。
購入当初に高域が少し不自然に感じたのはこのためだと思います。
とはいえ、MojoやB&W P7ほど誇張するかというわけではありません。
試聴時には誇張していると気がつかなかったので、誇張の度合いはわずかだと感じます。
高域では音の余韻がよく残ると感じたり、ベースの低音がよく響いて沈み込むと感じるのはこれが原因ではないかと思います。ボーカルが前に出て来るのも同じ理屈ですね。
HERUS+とVANTAM Redで一番わかりやすい違いは低音の沈み込みと量です。
HERUS+は極端に低音寄りとは感じませんが、質のいい低音を聴かせてくれます。
低音が好きという方にはHERUS+のほうが合うと思います。
ダイナミックで派手な音が好きという方もHERUS+ですね。
VANTAM Redのほうはとても素直な音でした。
前述の通り、繊細な音についてはVANTAM Redのほうが得意で、二つ以下の楽器だけで構成されるような曲はVANTAM Redで聴くほうが私は好みです。
もっとも私の音楽ライブラリーにそういう曲は少ないんですけどね。(笑)
それと、より細かく分析的に聴くならVANTAM Redのほうが向いてると感じました。
まったりと音楽を楽しみたい場合は、HERUS+ですね。
HERUS+はVANTAM Redと同じような音の傾向で、さらなる音質向上を期待して購入したのですが、この期待は外れました。
ただ、製品として購入が失敗だったかというとそうではなく、味つけの違うDACがひとつ増えたなという印象です。
HERUS+を購入したらVANTAM Redは里子に出そうかと思っていたんですが、ちょっと迷いますね。
少し考えようと思います。
音質以外の点ですが、出力はHERUS+のほうが大きいです。
今日の聞き比べでは、VANTAM Redは最大音量だったのに対して、HERUS+は90%(iPhoneの音量をひとつ下げた状態)でした。
HERUS+はさらにもうひとつ音量を上げることが出来ますので、これでメインのヘッドフォンのDT 1770 PROを運用するのに問題がなくなりました。
そもそもVANTAM Redを新しいポタアン(DAC)に買い換えようと思った動機がDT 1770 PROを最適な音量で鳴らすことだったので、HERUS+はこの問題も解決してくれたことになります。
Mojoかこれから発売されるであろうAudioQuest社のDRAGONFLY REDを買おうか悩んでいますが、試聴をしながらもう少し悩むことにします。
聞き比べをしている中で気がついたんですが、ぷちぷちノイズはVANTAM REDのほうが多いですね。
これはVANTAM Redの問題なのか、ケーブルの問題なのかよくわかっていません。
ケーブルの問題だったら、HERUS+に使っているWireworld社製のUSBケーブルと同等のLightningケーブルを買う必要があるかなと思ってます。
ただ、高音質タイプのLightningケーブルはあまり選択肢がなく、価格も高いんですよね。
LightningケーブルをiPhoneに直接接続するのと、USBカメラアダプタを間に挟むので差があるのかなとも思っています。
今後の課題にしたいと思います。
今回の聞き比べは以上です。
HERUS+を買うことになった経緯については以下の記事を参考にしてください。
HERUS+の開封の儀はこちらです。
VANTAM Redを購入した2015年3月のポタアン選びについては以下の記事を参考にしてください。
MojoとHERUS+の聞き比べはこちらの記事です。
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